医聖・華岡青洲の功績をたどる〜私財を投じて造った「垣内池」〜
世界で初めて全身麻酔下で乳がんの手術を成功させた華岡青洲は、現在の紀の川市で生まれました。和歌山県が排出した偉大な医師であり、和歌山県立医科大学の教育の原点ともなっている人物です。
道の駅青洲の里は華岡青洲のゆかりの地につくられていて、道の駅内に資料室もあります。
この資料室では華岡青洲が実際につかった手術の道具を見たり、その人物像について学んだりすることができます。和歌山からこのような外科医の偉人が出ていることを知らない方も多いのですが、この地に250年以上前に生まれ、最新医学を学んで多くの人の命を救った功績があります。
また、華岡青洲自身が施しただけでなく、華岡青洲から技術を学びたいと全国から医師が集まってきていました。その時代に和歌山の紀の川市まで来るのは大変な道のりだったと思いますが、全国から青洲流の外科を学びにきていたそうです。最近のニュースでも青洲に学んで開いた医院が今も続いているとの報道が出ていました。
神戸新聞NEXT:デリケートな痔の悩み解決します 肛門科開設200年、独自手術で痛みや再発とお別れを
全国、世界から注目される医師を排出した場所が道の駅青洲の里です。道の駅内にある資料展示室のほか、敷地内には住居兼診療所として活用されていた建物、春林軒が再建されています。
その道の駅青洲の里から車で3分、1キロほど離れた場所に、垣内池(かいといけ)という池があるのですが、こちらも華岡青洲にゆかりのある場所です。農業に従事する方々が水不足で悩んでいる姿を見て、青洲の私財で造った池です。今も周辺住民に使われており、青洲の歌碑がほとりに建てられています。
「水みたば 心をこめて田うへせよ 池の昔を思ひわすれず」
この垣内池の広さは約3000坪もあるそうです。今も使われているため池の周囲は整備されており、とても静かなところです。桃畑に囲まれていて、きれいな水が確保されていました。
歌碑には青洲が詠んだ「水みたば 心をこめて田うへせよ 池の昔を思ひわすれず」という歌が刻まれています。医療の道に邁進するだけでなく、地域住民の方々のための活動も積極的にされていたので、道の駅の名前になるほどその功績が今も讃えられているのですね。
垣内池の周囲は散歩できる?
周囲を散歩したいところですが、農業のために造られた池なので、周囲は畑がグルリとあり、一周するのは難しかったです。けれど涼しい風が吹いていて、とても開放的な気持ちになれました。
この池は県道127号線沿い。駐車場はないですが、少し広い道なので、車を寄せれば停められるところがあります。
看板には道の駅青洲の里への案内が出ています。
華岡青洲の功績を間近に感じられる場所なので、散策の際にはこの垣内池にも立ち寄られてみてはいかがでしょうか。道の駅から1キロですので、歩くこともできる距離です。公共交通機関であれば、JR名手駅が最寄駅で、10〜15分ほどの距離です。華岡青洲の歴史をたどるのは、夏休みの自由研究にもとてもよい題材になると思います。