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その他観光 2022.11.12

「有吉佐和子記念館」は文豪の息遣いが感じられる邸宅づくり、ベトナムカフェでほっと一息

道の駅・四季の郷公園から、和歌山市内へ車で約20分。南海和歌山市駅から徒歩5分ほどの距離に「和歌山市立有吉佐和子記念館」があります。和歌山市出身の作家、有吉佐和子が東京で暮らした家を復元した邸内には、氏ゆかりの資料が展示されているほか、ベトナム料理のカフェもあり、気軽に訪れられる雰囲気です。
有吉佐和子の代表作『紀ノ川』を愛読書とするライターが、ある秋の日、有吉佐和子記念館を訪れてみました。

コンパクトにまとまった記念館

有吉佐和子記念館は、東京都杉並区にあった氏の邸宅を移築・復元しています。一見、民家のように見えるので、車の場合、通り過ぎてしまわないように注意です。駐車場は無料で8台分用意があります。
玄関も邸宅風の普通の玄関で、開けてもいいのか若干心配になりますが、記念館なので大丈夫、臆せず開けましょう。

1階には受付と展示室、カフェがあります。1階の展示室は、氏が応接室として使っていた洋間です。この部屋は撮影禁止。氏の直筆原稿や万年筆、中国やニューギニアなどへの取材旅行で集めてきたお土産品などが展示されていました。

階段の登り口にあった「盛大」の額の前の有吉佐和子の写真。これは右から「盛大」なのですが「おおもり」と読む来客が後を絶たず「次は縦に書いてもらいたい」と思ったというエピソードが披露されており、くすっと笑ってしまいました。

1階カフェのいい香りにひかれつつ、先に展示を見学するために2階へ。

2階に上がったところの部屋が書斎です。

書斎には有吉佐和子が執筆に使った机と椅子が置かれています。『華岡青洲の妻』や『恍惚の人』『複合汚染』など、多くの作品がこの部屋から生まれました。
障子の窓から、特製の原稿用紙にやわらかな日差しがこぼれていました。モニタを前にパソコンで執筆する現代とは、また違う空気が漂っています。

整えられた書斎には、有吉佐和子お気に入りの調度品や当時の電話機が。当時はベッドも置かれていたそうです。

氏の蔵書も保存されています。

隣の部屋は、炉が切ってある茶室です。有吉佐和子は、藪内流の茶道を嗜んだ茶人でもありました。茶名は「青庵」。多忙を極めた執筆生活の中でも、自宅で茶会を催した風流人だったそうです。
床の間には小堀遠州の書、ベトナムの茶器などが飾られています。
この部屋には、訪問ノートが置かれており訪れたファンが想いを書き綴っていました。

「ラ・メゾン・クロシェット有吉邸」

1階のカフェ「ラ・メゾン・クロシェット有吉邸」は庭に面した心地の良い空間。

ベトナムの雑貨が飾られ、世界の各地を飛び回った有吉佐和子の邸宅にぴったりの雰囲気です。

ランチは10時から14時まで。
「ベトナムごはん定食」(1,650円)を注文すると、香草のパクチーを入れるかどうかを訊ねてくれました。

なかなかのボリュームですが、野菜がたくさんでヘルシーな定食です。
左上がコムアンフーというベトナム混ぜごはん。

ほろほろになるまで煮込んだ牛肉とたまねぎに、パクチーがいいアクセント。大きなキクラゲも入っています。エスニックな牛丼のような味わいです。

こちらは野菜たっぷりの生春巻き。魚醤と醤油と味噌っぽいタレが3種類ついてきます。タレはほどよいピリ辛。キウイの甘さがフレッシュです。

デザートは仙草ゼリー。黒いゼリーは仙草由来の色です。
バナナとココナッツミルクでほんのり甘い優しい味。

テイクアウトのお菓子も販売しています。

お菓子のショーケースの下には、マグネットしおりなどの、有吉佐和子グッズも。

カフェの壁には「紀の川ほど美っつい川はございませんよし」と、『紀ノ川』の主人公・花の印象的な台詞が表装されてかけられていました。
紀の川の青さに感動したという有吉佐和子。邸宅がふるさと和歌山の紀の川の近くに移築されたことを、喜んでくれることでしょう。

カフェから見えるお庭です。小説『芝桜』『木瓜の花』にちなんで、芝桜と木瓜が植えられているそう。隣が公園でビルが迫っていないのがいいですね。

開館時間は9時~17時、入館料は無料。定休日は水曜日と年末年始です。
最新情報はホームページなどでご確認ください。

https://www.ariyoshi-sawako.jp/

 

この記事を書いた人

二階堂ねこ

奈良育ち、大阪の出版社勤務を経て、結婚を機に和歌山に。在住約20年を数え、もうすっかり和歌山人のつもりです。海のある街に猫と住む夢が叶ってごきげん。取材やインタビューをメインに活動しつつ、地域の魅力を発信したいフリーライター。

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