九度山・弘法大師の母が暮らした「慈尊院」で女人高野の風情を味わう
高野山のふもと、世界遺産に登録されている「慈尊院」。弘法大師(空海)の母が、高野山を創建した息子を一目見ようと晩年移り住んだことから、当時は女人禁制だった高野山に相対して「女人高野」と呼ばれ、多くの女性の参拝を受けてきた歴史があります。
弥勒堂には国宝の弥勒菩薩坐像が
慈尊院の創建は816年。弘法大師が高野山開創の際に高野山参詣の要所にあたるこの地に伽藍を創建したのが始まりです。
入ってすぐに見える朱塗りの多宝塔には、大日如来が安置されています。弘法大師の創立で、現在の塔は1600年代に再建されたものです。
弥勒堂には、弘法大師の母が篤く信仰していた弥勒菩薩坐像と御母公像が安置されています。弥勒菩薩坐像は国宝に指定されており、21年ごとに御開帳されます。弘法大師のご母堂にご利益をいただきたいと、多くの女性が訪れます。
乳房型の絵馬に女人高野の祈りを感じて
乳房型の絵馬が奉納されているのは、慈尊院ならではの風景。女人高野の謂れから、子授けや安産、育児、また胸部の病気の平癒を願って、手作りの絵馬が奉納されています。
古来から続く女性たちの祈りに触れ、しみじみと感じ入る心地になりました。
有吉佐和子の小説『紀ノ川』でも、主人公・花が自らの手で絵馬を作り、安産祈願をするシーンが描かれています。
高野山案内犬ゴンのかわいらしい碑にもぜひお参りを。紀州犬と柴犬の雑種犬・ゴンは、昭和60年代に慈尊院にいた野良犬。誰が教えたわけでもないのに、慈尊院から高野山の大門まで参詣者の道案内をするようになった名犬です。ゴンは2002年に息をひきとりましたが、その愛すべき活躍を惜しんでゴンの碑が建立されました。
訪れる際は、公式ホームページなどで最新情報をチェックしてください。
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http://jison-in.org/index.html